主なシリアル・バスの信号線数・速度・距離の早見表
基板内の接続から機器間の配線まで、シリアル通信の方式ごとに信号線の構成と速度・距離の目安を比べる表です。掲載値の版・モード・条件を揃えて比較してください。 言葉の意味から読む ↓
データ・クロック・選択線の役割
同じシリアル通信でも、接続と送信タイミングの決め方が異なります。
1UART:共通クロック線なし
2I²C:クロックと双方向データ
3SPI:クロックと選択線
4SPI:取り込むエッジを合わせる
信号の構成例です。電源・GND・保護回路は省略しています。UARTの論理信号をRS-232電圧に直結しないなど、物理層の条件も確認してください。
仕様書・見積依頼で確認すること
- 通信方式・電圧・速度・端子割り当て
- 同期モード、終端やプルアップの要否
2つの項目を並べて読む
見たい項目を左右で選べます。異なる製品・試験条件の数値は、そのまま優劣の比較には使えません。
- 方式
- I2C
- 信号線・構成
- 2 本(SDA、SCL)。オープンドレインでプルアップ抵抗が必要。半二重
- 速度の目安
- 標準 100 kbps、Fast 400 kbps、Fast-mode Plus 1 Mbps、High-speed 3.4 Mbps、Ultra-Fast 5 Mbps(書き込み専用)
- 距離・接続数の目安
- プルアップ抵抗は配線容量を考慮して選ぶ
- 接続・配線の注意
- 1 つのコントローラに複数のターゲットがぶら下がる構成
- 方式
- SPI
- 信号線・構成
- 代表的な4線式はSCLK・PICO・POCI・CS。3線式などの構成もある
- 速度の目安
- 上限はデバイスと実装条件による。I2CやUARTに対して一律の速度比はない
- 距離・接続数の目安
- 共通の最大配線長は設定しない。クロック・負荷容量・配線遅延をデバイス仕様と照合
- 接続・配線の注意
- ターゲットごとに CS を分ける方式と、デイジーチェーン方式がある
- 方式
- UART
- 信号線・構成
- 基本のデータ線はTX・RXの2本(GND・電源は別)。非同期。フロー制御の有無は実装による
- 速度の目安
- デバイスが対応するボーレートで照合
- 距離・接続数の目安
- 距離は採用する電気インターフェースと配線条件による
- 接続・配線の注意
- UARTとRS-232/RS-485の電気的な定格を混同しない
- 方式
- RS-232
- 信号線・構成
- TIA/EIA-232-F。DB9 の DTE インターフェースは送信系 3 本・受信系 5 本
- 速度の目安
- 標準の上限は 20 kbit/s
- 距離・接続数の目安
- RS-232-C の規定は最大 15 m
- 接続・配線の注意
- —
- 方式
- RS-422
- 信号線・構成
- 平衡(差動)伝送。1 ドライバ・最大 10 レシーバ
- 速度の目安
- 最大 10 Mbps
- 距離・接続数の目安
- 理論上の最大ケーブル長 1200 m。約 1 km では約 100 kbps 以下
- 接続・配線の注意
- 速度(bps)× 長さ(m)が 10 の 8 乗を超えないことが目安
- 方式
- RS-485
- 信号線・構成
- 平衡(差動)伝送のマルチポイント。同時に送信できるドライバは 1 つ(半二重)
- 速度の目安
- 10 Mbps 超(TI の素子は 50 Mbps まで)
- 距離・接続数の目安
- 理論上の最大ケーブル長 1200 m。バスに最大 32 ユニットロード
- 接続・配線の注意
- TIA/EIA-485
- 方式
- CAN
- 信号線・構成
- 2 本(CANH、CANL)の差動。両端に 120 Ω の終端
- 速度の目安
- 1 Mbps
- 距離・接続数の目安
- ISO 11898 の規定で 1 Mbps 時にバス長 40 m・最大 30 ノード。スタブは 0.3 m まで
- 接続・配線の注意
- 従来の CAN(CAN 2.0)のデータフィールドは最大 8 バイト(Microchip の資料)
- 方式
- CAN FD
- 信号線・構成
- CANH・CANLの差動
- 速度の目安
- データフェーズはコントローラ・トランシーバ・配線で決まる。8 Mbpsは一部製品の例で規格共通の上限ではない
- 距離・接続数の目安
- —
- 接続・配線の注意
- データフィールドは最大 64 バイト。プロトコルは ISO 11898-1:2015
- 方式
- LIN
- 信号線・構成
- 1 本。1 コマンダ + 最大 16 レスポンダ
- 速度の目安
- TI 資料の例で 20 kbps(10.4 kbps の条件も記載)
- 距離・接続数の目安
- ワイヤハーネス長は最大 40 m
- 接続・配線の注意
- 車載の CAN の下位サブバスとして使われる
- 方式
- USB
- 信号線・構成
- USB 2.0のデータはD+・D−の1差動対。USB 3.xは別の送受信差動対を使用。電源・GND・Type-CのCC等は別
- 速度の目安
- Low Speed 1.5 Mbps、Full Speed 12 Mbps、USB 2.0 High Speed 480 Mbps、USB 3.0 SuperSpeed 5 Gbps、USB 3.1 SuperSpeed+ 10 Gbps
- 距離・接続数の目安
- 版・速度・ケーブル仕様・能動/受動の条件を指定して確認
- 接続・配線の注意
- USB4 Specification v2.0 が USB-IF から公開されている(速度は表に含めず)
- 方式
- Ethernet 10BASE-T
- 信号線・構成
- ツイストペア 2 対
- 速度の目安
- 10 Mbit/s(名称の数字)
- 距離・接続数の目安
- 100 m
- 接続・配線の注意
- IEEE 802.3 Clause 14
- 方式
- Ethernet 100BASE-TX
- 信号線・構成
- ツイストペア 2 対
- 速度の目安
- 100 Mbit/s(名称の数字)
- 距離・接続数の目安
- 100 m
- 接続・配線の注意
- IEEE 802.3 Clause 25
- 方式
- Ethernet 1000BASE-T
- 信号線・構成
- ツイストペア 4 対
- 速度の目安
- 1000 Mbit/s(名称の数字)
- 距離・接続数の目安
- 100 m
- 接続・配線の注意
- IEEE 802.3 Clause 40
- 方式
- I2C
- 信号線・構成
- 2 本(SDA、SCL)。オープンドレインでプルアップ抵抗が必要。半二重
- 速度の目安
- 標準 100 kbps、Fast 400 kbps、Fast-mode Plus 1 Mbps、High-speed 3.4 Mbps、Ultra-Fast 5 Mbps(書き込み専用)
- 距離・接続数の目安
- プルアップ抵抗は配線容量を考慮して選ぶ
- 接続・配線の注意
- 1 つのコントローラに複数のターゲットがぶら下がる構成
- 方式
- SPI
- 信号線・構成
- 代表的な4線式はSCLK・PICO・POCI・CS。3線式などの構成もある
- 速度の目安
- 上限はデバイスと実装条件による。I2CやUARTに対して一律の速度比はない
- 距離・接続数の目安
- 共通の最大配線長は設定しない。クロック・負荷容量・配線遅延をデバイス仕様と照合
- 接続・配線の注意
- ターゲットごとに CS を分ける方式と、デイジーチェーン方式がある
- 方式
- UART
- 信号線・構成
- 基本のデータ線はTX・RXの2本(GND・電源は別)。非同期。フロー制御の有無は実装による
- 速度の目安
- デバイスが対応するボーレートで照合
- 距離・接続数の目安
- 距離は採用する電気インターフェースと配線条件による
- 接続・配線の注意
- UARTとRS-232/RS-485の電気的な定格を混同しない
- 方式
- RS-232
- 信号線・構成
- TIA/EIA-232-F。DB9 の DTE インターフェースは送信系 3 本・受信系 5 本
- 速度の目安
- 標準の上限は 20 kbit/s
- 距離・接続数の目安
- RS-232-C の規定は最大 15 m
- 接続・配線の注意
- —
- 方式
- RS-422
- 信号線・構成
- 平衡(差動)伝送。1 ドライバ・最大 10 レシーバ
- 速度の目安
- 最大 10 Mbps
- 距離・接続数の目安
- 理論上の最大ケーブル長 1200 m。約 1 km では約 100 kbps 以下
- 接続・配線の注意
- 速度(bps)× 長さ(m)が 10 の 8 乗を超えないことが目安
- 方式
- RS-485
- 信号線・構成
- 平衡(差動)伝送のマルチポイント。同時に送信できるドライバは 1 つ(半二重)
- 速度の目安
- 10 Mbps 超(TI の素子は 50 Mbps まで)
- 距離・接続数の目安
- 理論上の最大ケーブル長 1200 m。バスに最大 32 ユニットロード
- 接続・配線の注意
- TIA/EIA-485
- 方式
- CAN
- 信号線・構成
- 2 本(CANH、CANL)の差動。両端に 120 Ω の終端
- 速度の目安
- 1 Mbps
- 距離・接続数の目安
- ISO 11898 の規定で 1 Mbps 時にバス長 40 m・最大 30 ノード。スタブは 0.3 m まで
- 接続・配線の注意
- 従来の CAN(CAN 2.0)のデータフィールドは最大 8 バイト(Microchip の資料)
- 方式
- CAN FD
- 信号線・構成
- CANH・CANLの差動
- 速度の目安
- データフェーズはコントローラ・トランシーバ・配線で決まる。8 Mbpsは一部製品の例で規格共通の上限ではない
- 距離・接続数の目安
- —
- 接続・配線の注意
- データフィールドは最大 64 バイト。プロトコルは ISO 11898-1:2015
- 方式
- LIN
- 信号線・構成
- 1 本。1 コマンダ + 最大 16 レスポンダ
- 速度の目安
- TI 資料の例で 20 kbps(10.4 kbps の条件も記載)
- 距離・接続数の目安
- ワイヤハーネス長は最大 40 m
- 接続・配線の注意
- 車載の CAN の下位サブバスとして使われる
- 方式
- USB
- 信号線・構成
- USB 2.0のデータはD+・D−の1差動対。USB 3.xは別の送受信差動対を使用。電源・GND・Type-CのCC等は別
- 速度の目安
- Low Speed 1.5 Mbps、Full Speed 12 Mbps、USB 2.0 High Speed 480 Mbps、USB 3.0 SuperSpeed 5 Gbps、USB 3.1 SuperSpeed+ 10 Gbps
- 距離・接続数の目安
- 版・速度・ケーブル仕様・能動/受動の条件を指定して確認
- 接続・配線の注意
- USB4 Specification v2.0 が USB-IF から公開されている(速度は表に含めず)
- 方式
- Ethernet 10BASE-T
- 信号線・構成
- ツイストペア 2 対
- 速度の目安
- 10 Mbit/s(名称の数字)
- 距離・接続数の目安
- 100 m
- 接続・配線の注意
- IEEE 802.3 Clause 14
- 方式
- Ethernet 100BASE-TX
- 信号線・構成
- ツイストペア 2 対
- 速度の目安
- 100 Mbit/s(名称の数字)
- 距離・接続数の目安
- 100 m
- 接続・配線の注意
- IEEE 802.3 Clause 25
- 方式
- Ethernet 1000BASE-T
- 信号線・構成
- ツイストペア 4 対
- 速度の目安
- 1000 Mbit/s(名称の数字)
- 距離・接続数の目安
- 100 m
- 接続・配線の注意
- IEEE 802.3 Clause 40
| 方式 | 信号線・構成 | 速度の目安 | 距離・接続数の目安 | 接続・配線の注意 |
|---|---|---|---|---|
| I2C | 2 本(SDA、SCL)。オープンドレインでプルアップ抵抗が必要。半二重 | 標準 100 kbps、Fast 400 kbps、Fast-mode Plus 1 Mbps、High-speed 3.4 Mbps、Ultra-Fast 5 Mbps(書き込み専用) | プルアップ抵抗は配線容量を考慮して選ぶ | 1 つのコントローラに複数のターゲットがぶら下がる構成 |
| SPI | 代表的な4線式はSCLK・PICO・POCI・CS。3線式などの構成もある | 上限はデバイスと実装条件による。I2CやUARTに対して一律の速度比はない | 共通の最大配線長は設定しない。クロック・負荷容量・配線遅延をデバイス仕様と照合 | ターゲットごとに CS を分ける方式と、デイジーチェーン方式がある |
| UART | 基本のデータ線はTX・RXの2本(GND・電源は別)。非同期。フロー制御の有無は実装による | デバイスが対応するボーレートで照合 | 距離は採用する電気インターフェースと配線条件による | UARTとRS-232/RS-485の電気的な定格を混同しない |
| RS-232 | TIA/EIA-232-F。DB9 の DTE インターフェースは送信系 3 本・受信系 5 本 | 標準の上限は 20 kbit/s | RS-232-C の規定は最大 15 m | — |
| RS-422 | 平衡(差動)伝送。1 ドライバ・最大 10 レシーバ | 最大 10 Mbps | 理論上の最大ケーブル長 1200 m。約 1 km では約 100 kbps 以下 | 速度(bps)× 長さ(m)が 10 の 8 乗を超えないことが目安 |
| RS-485 | 平衡(差動)伝送のマルチポイント。同時に送信できるドライバは 1 つ(半二重) | 10 Mbps 超(TI の素子は 50 Mbps まで) | 理論上の最大ケーブル長 1200 m。バスに最大 32 ユニットロード | TIA/EIA-485 |
| CAN | 2 本(CANH、CANL)の差動。両端に 120 Ω の終端 | 1 Mbps | ISO 11898 の規定で 1 Mbps 時にバス長 40 m・最大 30 ノード。スタブは 0.3 m まで | 従来の CAN(CAN 2.0)のデータフィールドは最大 8 バイト(Microchip の資料) |
| CAN FD | CANH・CANLの差動 | データフェーズはコントローラ・トランシーバ・配線で決まる。8 Mbpsは一部製品の例で規格共通の上限ではない | — | データフィールドは最大 64 バイト。プロトコルは ISO 11898-1:2015 |
| LIN | 1 本。1 コマンダ + 最大 16 レスポンダ | TI 資料の例で 20 kbps(10.4 kbps の条件も記載) | ワイヤハーネス長は最大 40 m | 車載の CAN の下位サブバスとして使われる |
| USB | USB 2.0のデータはD+・D−の1差動対。USB 3.xは別の送受信差動対を使用。電源・GND・Type-CのCC等は別 | Low Speed 1.5 Mbps、Full Speed 12 Mbps、USB 2.0 High Speed 480 Mbps、USB 3.0 SuperSpeed 5 Gbps、USB 3.1 SuperSpeed+ 10 Gbps | 版・速度・ケーブル仕様・能動/受動の条件を指定して確認 | USB4 Specification v2.0 が USB-IF から公開されている(速度は表に含めず) |
| Ethernet 10BASE-T | ツイストペア 2 対 | 10 Mbit/s(名称の数字) | 100 m | IEEE 802.3 Clause 14 |
| Ethernet 100BASE-TX | ツイストペア 2 対 | 100 Mbit/s(名称の数字) | 100 m | IEEE 802.3 Clause 25 |
| Ethernet 1000BASE-T | ツイストペア 4 対 | 1000 Mbit/s(名称の数字) | 100 m | IEEE 802.3 Clause 40 |
読むときの注意
- 速度と距離は反比例の関係にあります。RS-422 / RS-485 は規格自体はケーブル長を制限せず、TI は比較表で理論上の最大ケーブル長を 1200 m としています。
- I2C は TI の資料名で controller / target と呼ぶ表記を使っています(従来の master / slave に相当)。
- SPI の TI 資料は PICO / POCI と表記します(従来の MOSI / MISO に相当)。
- 「—」は本表に数値を掲載していない項目です。信号線数はインターフェースの版・モード、通信距離は機器仕様と配線条件を確認してください。
- CAN FD のデータフェーズ速度は規格上の上限ではなく、トランシーバやコントローラが対応する値です。
- 線数はデータ/制御信号の構成です。GND、電源、シールド、コネクタの全ピン数とは一致しません。
はじめての方へ
シリアル通信の基礎
シリアル通信は、データを 1 ビットずつ順番に、少ない本数の線で送る方式です。マイコンとセンサ、機器と機器をつなぐ通信の多くがこの方式です。
同期式と非同期式
I²C や SPI は、データの線とは別に「クロック」という合図の線を持ち、その合図に合わせてデータを読み取ります(同期式)。UART はクロックの線を持たず、送る側と受ける側で通信の速さ(ボーレート)をあらかじめ合わせておきます(非同期式)。
基板の中か、機器の外か
I²C・SPI・UART は、主に同じ基板の中や短い距離で使う方式です。工場の機器どうしのように、距離が長く雑音の多い場所では、RS-485 や CAN のように 2 本の線の電圧の差で信号を送る「差動」方式が使われます。雑音は 2 本の線に同じように乗るので、差を取ると打ち消しやすくなります。
1 対 1 か、1 対多か
UART は基本的に 1 対 1 でつなぎます。I²C は 1 組の線に複数の部品をつなぎ、アドレスで相手を選びます。SPI は相手ごとに選択用の線(CS)を用意します。部品を選ぶときは、マイコン側にその方式の通信回路(ペリフェラル)がいくつあるかも確認します。
このページに出てくる言葉
- クロック
- データを読み取るタイミングを知らせる合図の信号。
- ボーレート
- 非同期通信で 1 秒間に送る記号の数。UART ではおおむね bit/s と同じ。
- 差動
- 2 本の線の電圧の差で 0 と 1 を表す方式。雑音に強い。
- ペリフェラル
- マイコンに内蔵された通信や計測の回路。
あわせて読む: CAN と CAN FD の違い
同じ分類のツール
参考資料・更新情報 (12件)
- TI A Basic Guide to I2C(SBAA565) ↗
- TI Understanding the SPI Bus(SBOA621) ↗
- TI Interface Circuits for TIA/EIA-232-F(SLLA037A) ↗
- TI RS-422 and RS-485 Standards Overview and System Configurations(SLLA070D) ↗
- TI Introduction to the Controller Area Network(SLOA101B) ↗
- Microchip MCP25XXFD Family Reference Manual(CAN FD) ↗
- NXP High Speed CAN with Flexible Data Rate(CAN FD) ↗
- TI LIN Protocol and Physical Layer Requirements ↗
- TI A Primer on USB Type-C and USB Power Delivery(SLYY109B) ↗
- USB-IF Documents ↗
- IEEE 802.3 Past PHY naming(David Law、2015) ↗
- TI SLLA522A(2021), UARTのTX/RX ↗
規格は改訂されます。設計・調達の判断は最新の規格書やデータシートで確認してください。誤りはこちらからお知らせください。